徒然日記 Vol 700
誰じゃったかい?
1月10日の午後に、訃報が入った。元市議会議員の上村さんが亡くなった。上村さんは、五期20年間の長きに渡り地域に根差しての議員活動をされてきた方だ。上村さんの退任にあたり、その後継として私が引き継ぎ、議員となった。14年前に、上村さんの地盤を引き継ぐために、この地に移り住み、上村さんと共に一年以上をかけて、地域の方々の家々に挨拶に伺った◆上村さんと一緒に、毎日のように、100軒ほどの家を回り、上村さんが「私の後継の福永さんです。よろしく」と紹介していただいた。おかげで、12年前に、初当選を勝ち取ることができた。挨拶回りで、思い出すことがある。夕方になり、上村さんも少し疲れが見え始めた頃、挨拶に伺った支持者の方の玄関で、上村さんがいつものように「私の後継の」の後、言葉に詰まり「誰じゃったかい?」と言われた◆玄関の方も私も、ひっくり返りそうになりながらも、私は、すかさず「福永といいます。よろしくお願いします」と挨拶をした。そんなことが、一度ならず幾度かあり、上村さんは大丈夫かい?と思ったものだ。しかし、今にして思えば、「誰じゃったかい?」は、私の名前を覚えてもらうための、上村さんの作戦だったような気がする。そして、7年前の地震の時には、安否確認で上村さん宅を伺った時の、上村さんの第一声は「名前を売るチャンスばい。頑張って」と言われた◆私は「名前を売るためではなくて、困った人を助けるために頑張ります」という言葉を飲みこみ、「はい」と返事した。地震後の一カ月は、参院選もあり、地域のことや議会対策等含めて、我が人生で一番多忙を極めた。頑張ったおかげで、上村さんの言われたように、きっと、私の名前も売れたのかもしれない。葬儀の日に久しぶりに再会した棺桶の中の、上村さんの、あの大きな目は二度と開かない。昨年、「また飲みましょうね」の約束も叶わず、逝ってしまわれた。手を合わせて「長い間、お疲れさまでした」と、「落選して、すみません」の言葉をかけて、お別れをしてきた。
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