徒然日記 Vol 600
銃と自由
個人によるテロで、安倍元総理が手製の銃で殺された。何とも物騒な世の中だ。犯人は「母親が宗教にのめり込み、生活が苦しかった。その宗教団体と安倍元総理が関係があると思っての恨みからの犯行」とのこと。あまりにも乱暴な論理で、納得できない。社会的に孤立し、鬱積した不満なりが、他者への殺意と変わったのであろうか。いずれにしても、人を殺すために銃を作り、実行する人がいることは脅威だ◆アメリカでは、この数年、銃による無差別での殺人事件が多数発生している。年間の交通事故死よりも、銃で亡くなる人が多いというのだから、深刻な問題だ。相次ぐ銃による無差別テロを受けて、先日、28年振りに、銃の入手のための条件を厳しくするための法律が、制定された。しかし、銃を持つ権利を保障する法律が無くならない限り、抜本的な解決には至らないだろう◆20年以上前に、マイケル・ムーア監督の「ボウリング・フォー・コロンバイン」というドキュメンタリーを観た。コロンバイン高校銃乱射事件を扱った、市民や団体などのインタビュー形式の映画だ。そこには、アメリカの歴史として、インディアンとの闘いや、南北戦争や黒人迫害の歴史などにより、銃社会が形成されてきたこと。そして、身を守るための道具として、今でも当たり前に、誰もが銃を手に入れることができること、などが描かれている。また、カナダはアメリカよりも銃の所持率が高い中、銃による無差別殺人等の事件は、ほとんど起きていないことでの、アメリカとカナダの国民の銃に対する考えの違いも、検証されいる◆ドキュメンタリーでは、全米ライフル協会の当時の会長の、チャールトン・ヘストンが登場する。コロンバイン高校で13名の命が奪われた銃の乱射事件が起きた後すぐに、その街で協会の集会があり、銃の必要性を訴える、チャールトン・ヘストンの姿があった。多数の犠牲者があったばかりの街での、この行為は遺族の哀しみに唾を吐きかけるようなものだ。今でも協会は「銃を持った悪人から家族や自分の身を守るのは、銃を持った善人だ」「銃が人を殺すのではなく、人が人を殺すのだ」として、メーカーは様々な銃の販売促進に余念がない。豊かな国アメリカ。しかし、安全・安心が、そして自由が、銃でしか守れない国アメリカって、悲しい国の在りようだ。
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