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徒然日記 Vol 442

「なんて人生だ!」

 BSテレビで時々古い映画が放送される。先日、録画していた「心の旅路」という作品を観た。役者は、ロナルド・コールマンとグリア・カースン。1942年の映画で、私が生まれる11年前の作品だ。面白かった、感動した。母にも勧めて、先日、母一人で鑑賞。映画が始まってすぐに泣いていた。「悲しい場面でもないのに、なぜに」と聞くと、若かりし頃、父と二人で映画を観に行った時のことを思い出しての涙だった◆母は昭和7年生まれでもうすぐ88歳。女学校時代に父と知り合い、20歳の時に7歳年上の父と結婚して、三人の男の子を授かった。その長男が私だ。私が6歳で母が27歳の時に、父はリンパ肉腫で亡くなった。34歳の若さだった◆当時の娯楽と言えば、映画ぐらいのものだ。私たちが生まれる前には、父と二人でよく映画を観に行ったらしい。そして、結婚して7年後に夫が逝ってしまい、若くして未亡人になってしまった母。いつだったか「若くして亡くなるなんて、騙されたみたい」などと、私に愚痴る母だった◆父が亡くなって60年が過ぎた。母の三人の息子のうちの二人(私の弟)とも、私たちより先に亡くなってしまった。いくつもの悲しみを背負っての母の人生だ。母にしてみれば、「なんて人生だ!」と言いたくもなるだろう。泣きながら映画を観ている小さくなった母を見ながら「最後の息子としての私は、母よりも先に逝かないようにすることが、一番の親孝行なのだろう」と思ったりするのだ。

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