« 2019年10月 | トップページ | 2019年12月 »

2019年11月

徒然日記 Vol 403

私たちの税金で楽しかったでしょう?!

    10月末から11月にかけて8日間かけて、フランスのストラスブール市・オルレアン市・エクサンプロバンス市の三市を訪れ視察してきた。視察団は、市長をはじめ、執行部、商業関係者、議員等20数名。視察の目的は、「エクサンプロバンス市の招へいに応えての交流等」「先進的な取り組みとしての公共交通施策」と「車から人中心のまちづくり」「歴史的な景観を活かしたまちづくり」等の実態把握。飛行機での移動に往復24時間以上かかり、実質6日間(各市二泊)の視察だった。視察に行く前から、マスコミや市民団体から視察団の人数の多さや、2000万円以上の多額の予算等について批判があり、出国の日、帰国の日には空港にマスコミが来て、後日、視察に否定的な報道がされた◆視察の日程は朝から夕方まで、みっちりと組まれ、毎日1万歩前後歩いて真面目に視察をしてきた。ストラスブール市では、30年ほど前から市内の渋滞緩和策として、トラム(300人乗りの低床電車)の配置と路線の拡充、パーク&ライド(郊外に車を停めてトラムやバスを利用して市内に向かう)の施設整備、市内の車の乗り入れの規制、自転車道路や駐輪場の整備等に取り組んできた。熊本市の場合は、50年間で車の利用が30%増加したものの、ストラスブール市は、施策として公共交通の利用促進を図り、30年間で車の利用を30%削減に成功している街だ。私たちは、トラムにも乗車しパーク&ライドの施設の見学にも行き、歩いて街中のトランジットモール(街中のトラムの乗り換え拠点)や自転車専用レーン、レンタサイクル駐輪場などを視察した◆ストラスブール市は、中世からの古い建物が現存する街で、街全体がユネスコの世界遺産に登録されている、美しい街だ。その街中の歩道のすぐ横を、景色に溶け込んでトラムが走る姿は日本では見ることのできないものだ。オルレアン市では、市内中心部の大聖堂等の歴史的建造物の景観を損ねないために、近隣の新規の建物も調和を図るデザインを施し、架線レスのトラムが走行していた。両市ともトラムの乗車時には事前にカード等で手続し改札もなく、誰もチェックせず、抜き打ちで無賃乗車の者を取り締まるシステムになっている。トラムの運転者は運転だけに集中し、各駅での乗り降りは乗客が扉のボタンを押して行うため、混雑が解消されている。また街中には、車の乗り入れを規制するために、いたる所にライジングボラード(車道の中心に設置された障害物)が設置され、許可を得た車だけがカードを機械にかざすことにより、ライジングボラードが地中に下がり乗り入れができるようになっていた。エクサンプロバンス市では、EVバス(電気バス)に乗車し、街中のカフェや通りでのマルシェなどを視察した◆いずれの街も、古い建物の並ぶ美しい景観で、平日でありながら、多くの市民や観光客にあふれ、明るくにぎやかな印象を受けた。交通施策について、フランスと日本との大きな違いは、フランスは交通権の保障を法的に謳い、各市により違いはあるものの、働く者から最大2%の交通税を徴収している。また、フランスは、日本ほど道路交通法の規制が厳しくはなく、首長の権限での市内乗り入れの車の規制や、自転車道路の整備等のまちづくりが、主体的にできるようになっている。今回の視察により、各都市の取り組みについて、目で見て肌で感じることができた。歴史や文化や法的な位置づけ等の違いはあるものの、車から人への施策としての熊本型のまちづくりが必要だと感じた。フランスから帰国して、匿名希望のある女性から電話があり「真面目な議員で政治家だと思ってましたが、政治屋なんですね。私たちの税金で楽しかったことでしょう。もう二度と応援しません」と言われてしまった。市民の方々から「視察が無駄だった」と言われないように、今後、具体的な提言等を行っていきたい。

| | コメント (0)

« 2019年10月 | トップページ | 2019年12月 »