徒然日記 Vol 213
お江戸に行く
毎年、自己研修として政務活動費を使って2回から3回にかけて、視察や、いくつかの研修に参加している。その中でも、毎年欠かさず参加しているのが、日本自治創造学会主催の研究大会だ。毎年、今の時期に東京都千代田区の明治大学のアカデミーホールで開催されている。ということで、今年もお江戸に行ってきた。今回のテーマは、「人口減少と高齢化への挑戦」と題して、二日間にわたり、大学の教授や内閣府の担当者等8名の方の講演があった。大会には、日本全国から、県議や市議等の地方議員を中心に、500人ほどが集う。熊本からは、私と八代の市議の二名のみ。多い所では、同じ市から20名近くの市議が参加しているところも■大会の8人の講演者の中で特に印象に残ったのは、東大の金井教授の演題「人口減少を克服する議会の知恵」だった。講演の中で「人口減少は既定路線の中で、人口維持・増加を設定すれば失敗は不可避」「人口増ではなくて、人口減少を好機に転換するための課題設定としての、質への転換とすべき」「自治体間で子育て世代を取り合って、日本の人口減少問題は解決しない」「国は地方創生の具体策を提示せず、自治体の創意工夫に丸投げ」「全国的な人口増加策は、国が実施すべきこと」「地方創生という国策に便乗しながらもそれぞれの自治体の勝算のある課題を見極めての政策展開が必要」等の持論を述べられた■確かに国の言う「地方創生」は、国のやるべきことをないがしろにして、地方の中で手を上げて頑張るところに、一定の補助金をばらまくだけの、一過性の施策なのかもしれない。であれば、各自治体は、知恵を出して国からの補助金の分捕り合戦に参加するのか。独自で、未来を見据えた施策を実行するのか。それとも、国の補助金を活用しながら、独自の施策に役立てるのか。難しい判断と実行力が必要だ。案の定、講演後には金井教授に対して「国を非難するばかりで具体性に欠けていて到底受け入れられない見解」として、ブーイングの意見が出された■私としては、金井教授は具体策を示すことはできなかったものの、各自治体がこぞって人口維持・人口増を設定することへの懸念を示し、生活の質への向上への視点転換を示したことは評価すべきことだと思う。しかし、そこには生活者の理解の上での、価値観の大いなる転換が必要となるだろう。では、その具体策は?そう思いつつ、翌日の明治大学の小田切教授「農山村再生への挑戦」の講演で、展望が開けた。教授から、現在、田園回帰として田舎に移住し生活する若者たちが増加し、農山村に新しい風が吹いている、という実態報告があった。過疎からの再生へのプロセスも具体的に示された。特に強く語られたのは、地域を支えるために一番必要なのは「人材」という言葉だった。大会は終わったばかりで、自分なりに今後の熊本市政にどのように活かせるのかは、未だ判然としない。しかし、きちんと整理して、いずれ議会の中での発言に活かしていきたいものだ。
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