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2010年5月

徒然日記 Vol 17

肥後の守と命の大切さ

 これまで木工関連のイベントでマイ箸つくりを何回か行なった。材料には杉や竹を使う。大まかに箸の形に切った材料をカンナで削りナイフで少しずつ形を整えて、最後にサンドペーパーで磨いて出来上がる。文章で書くと簡単だが、ナイフで削るのが難しい。特に先端部分の角度や太さの削りが一番難しい■私達の少年時代は、肥後の守(折りたたみのナイフ)をみんなポケットに入れていて、鉛筆を研ぐのはもちろんのこと、竹を切ったりして竹とんぼなどを自分で作ったものだ。しかし、今の30代以下の世代はナイフを持った事がない方が多くて、箸つくりの際も苦労する人が多い。ところが、最初はおぼつかなくても、少しずつ要領が分かり熱中する人がほとんどだ。家族の分の箸を黙々とお父さんやお母さんたちが作っていく。最後にそれぞれの手の大きさに合わせて切断して、焼きペンで名前やマークなどを入れて自分だけの箸が出来上がる。太さも長さもそれぞれの手に合わせて作った箸だから、その使い心地は格別だ■マイ箸つくりの当初の目的は、子ども達にナイフの使い方を教えることだった。しかし、その親御さんのほとんどがナイフを使えない事が分かり、今のところは、よほど器用な子どもにしかナイフを触らせないことにしている。僕等はナイフの便利さもだが、その怖さも充分知っている。僕等はナイフで切った指からドクドクと流れ出る真っ赤な血と、指先に心臓があるようなドックンドックンとした痛みを知っている。そうして、僕等は誰に教わるでもなく、漠然とではあるが、その痛みを通して「命」の大切さを実感したものだ■僕らのあの時代のように、今の子ども達にナイフを与えたら、きっと大怪我をしたり喧嘩の道具にしたりして、大変な事になるのだろう。人はみんな同じように体には真っ赤な血が流れていること、そして体が傷ついたらとても痛いことを、どうしたら分かってもらえるのだろうか?

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徒然日記 Vol 16

  森の校舎で食べ遊び

高森の阿蘇フォークスクールで、5月の連休に「森の校舎で食べ遊び」のイベントを開催した。メニューは、竹のマイ箸・竹筒鳥飯ご飯・イチゴのチョコフォンデュ作り。2・3日の二日間で5家族、24人の参加があった■校舎前の芝生の上で竹を削り家族みんなの箸を作り、焼ペンで名前を入れて出来上がり。家族5人で参加してくれた友人がナイフで箸を削りながら、ポツリと「時間がゆっくりと流れていく」と呟く。聞こえてくるのは鳥の鳴き声と子どもたちの声。気持ちのいい風が通り過ぎて行く。せわしない日常から開放されるひと時は、確かにゆっくりと過ぎていく■ドラム缶のコンロで炊いた竹筒鶏飯ご飯も、残り火で溶かしたチョコレートに絡めて食べるイチゴチョコフォンデュも好評だった。特に嬉しかったのが、白ご飯しか食べなかった4歳の子どもさんが、お替りをして竹筒鶏飯ご飯を食べてくれた事だ。食事前にしっかりと遊び、家族がそろい、静かな緑の森に囲まれての食事だから、旨さは格別だ■参加者の方にアンケートを書いてもらったが、いずれもとても満足していただいたようだ。私たちは準備に追われて、当日は食事もままならず足を棒にして動き回りへとへとに疲れた。しかし、木育と食育の取り組みは始まったばかり。参加者は少なかったものの今後に繋がる有意義な内容だったと思う。今後は、「木工クラフト&燻製つくり」・炭火を使った「バウムクーヘンつくり」・でっかいカンナで氷を削って作る「ミルクシェーキつくり」・すいかを真ん中から割って季節の果物とサイダーを入れて作る「スイカのフルーツポンチつくり」・地元の農家のお母さんを先生に「切りかけ大根つくり」など計画したいと思っている。

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徒然日記 Vol 15

たったの五百円で!

この春から、休日は高森の阿蘇フォークスクールの運営する旧上色見小学校の工房で作品作りをしている。玩具作りをしながらクラフト体験も実施している。先日は、女性二人がやって来て、二時間ほどかけてそれぞれに作品を作って行かれた。当初の作製希望の品は、クラフト体験のメニューに無い私の作品のUFOとガラスのランタン。小さな作品で簡単にできるということもあり500円で受けて作品作りが始まった■しかし、お二人とも作り進めていくうちに少しずつアイデアが広がり、モデルよりも大きくなり、台座をつけたりして手間をかけながら作品が出来上がった。本来ならば、途中で値段を上げる交渉をしなければいけなかったが、お二人の熱心さに打たれて私も楽しませてもらった。「500円は安すぎました。また、来てくれる事を約束して、今回だけですよ」ということになった。多くの時間と材料を提供して出来上がった作品は、1000円でも安すぎるほどの素晴らしい出来上がり■私のクラフト体験のメニューには、設計図とおりに作るメニューと、自分で考えながら作る「木っ端クラフト」がある。「木っ端クラフト」の材料は作品づくりをしていてできる板や角材や丸棒などの木っ端や道端の木の枝や石ころやビー玉などだ。目の前にある材料の中から自分でイメージを膨らませて、少しずつ作っていくもの■今回のクラフト体験は500円とあまりにも安くしてしまい、大いに反省させられた。しかし、お二人は私の作品から少しずつイメージを広げて独自の自由な発想でひとつの作品を作られた。物づくりの原点を見る思いで私自身もはまってしまった。今度からは、出来上がった作品を見て作者と相談しながら最終的な値段を決めなければと思う。ということで反省をしながらも、お二人には有意義な時間を共有させていただいて感謝。

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徒然日記 Vol 14

縁とは不思議なもの・・

 高森の阿蘇フォークスクールの運営する旧上色見小学校に工房を開設して1ヵ月。たった一ヶ月間で多くの方たちと知り合う事ができた。お金はあり過ぎても少な過ぎてもいけないが、友人知人はお金では買えない。ということで私は実に裕福なのだ■先日、私の歓迎会を兼ねた阿蘇フォークスクールの飲み会があった。フォークスクールのメンバーを中心に、地元の会員やその友人や知人など30名ほどが集まり、夕方6時過ぎから12時近くまで田楽と山菜の天ぷらを肴に、話に花が咲いた。参加者の職業は、農業や会社員やフリーターやら様々。年齢も10代の中学生から60代と幅広く、実に多彩なメンバーが集まった。その中でも、目の前にやって来て何気なく話した青年との出会いには背中がゾクッとさせられた■「どこから来たんね?」と聞くと「小国からです」と応える。「小国のどこに住んでると?僕もしばらく土日だけ小国に工房を開いていたけど・・・」と言うと「木工所のTさんのギャラリーに寝泊りしてます」とのこと。驚いてしまった。なんと二年前に私が工房を借りて、息子達が土日にカフェを営業していたところに住んでいるという事だ。彼は、ギャラリーの隣の工場を工房にして大工仕事を始めるということだった■そして、翌週に開かれたフォークスクールの総会後の交流会では、親父同士が「いとこ」という遠い親戚の女性のKさんに出会った。縁とは不思議なものだ。それまで見ず知らずの人間同士が、どこかで何かが繋がっていて必然であるかのように、いずれ知り合う事の不思議。無神論者ではあるが、時々「なんでだろう?神の仕業?」と思ってしまう。神の与えたもうた縁であれば、末永く大切にしなければバチが当たるというものだ。

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