徒然日記 Vol 17
肥後の守と命の大切さ
これまで木工関連のイベントでマイ箸つくりを何回か行なった。材料には杉や竹を使う。大まかに箸の形に切った材料をカンナで削りナイフで少しずつ形を整えて、最後にサンドペーパーで磨いて出来上がる。文章で書くと簡単だが、ナイフで削るのが難しい。特に先端部分の角度や太さの削りが一番難しい■私達の少年時代は、肥後の守(折りたたみのナイフ)をみんなポケットに入れていて、鉛筆を研ぐのはもちろんのこと、竹を切ったりして竹とんぼなどを自分で作ったものだ。しかし、今の30代以下の世代はナイフを持った事がない方が多くて、箸つくりの際も苦労する人が多い。ところが、最初はおぼつかなくても、少しずつ要領が分かり熱中する人がほとんどだ。家族の分の箸を黙々とお父さんやお母さんたちが作っていく。最後にそれぞれの手の大きさに合わせて切断して、焼きペンで名前やマークなどを入れて自分だけの箸が出来上がる。太さも長さもそれぞれの手に合わせて作った箸だから、その使い心地は格別だ■マイ箸つくりの当初の目的は、子ども達にナイフの使い方を教えることだった。しかし、その親御さんのほとんどがナイフを使えない事が分かり、今のところは、よほど器用な子どもにしかナイフを触らせないことにしている。僕等はナイフの便利さもだが、その怖さも充分知っている。僕等はナイフで切った指からドクドクと流れ出る真っ赤な血と、指先に心臓があるようなドックンドックンとした痛みを知っている。そうして、僕等は誰に教わるでもなく、漠然とではあるが、その痛みを通して「命」の大切さを実感したものだ■僕らのあの時代のように、今の子ども達にナイフを与えたら、きっと大怪我をしたり喧嘩の道具にしたりして、大変な事になるのだろう。人はみんな同じように体には真っ赤な血が流れていること、そして体が傷ついたらとても痛いことを、どうしたら分かってもらえるのだろうか?
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