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徒然日記 Vol 11

桜の花びらが風に舞うたびに

 毎年、桜の花びらが風に舞うたびに思い出すことがある。22歳の春、私は名古屋の夜間の大学生だったが、失恋を期に、前年の秋から学校には行かずに、静岡の千頭という所で民宿に泊りがけでアルバイトのボーリング作業(ダム建設のための地層調査)の助手をしていた■作業場所は山の急斜面に足場が組まれていた。トイレなんか無くて斜面の木に捕まって用を足していた。斜面を転がる自分のウンチ!めったに見られるものではない。職員は、東北出身の三人。いずれも私と同じ世代で、皆一様に無口だった。毎晩、四人で酒一升を空にするぐらいが楽しみだった。みんな若いのに夢を語るでもなく、ただただ飲んでいた■目を閉じると、いくつかの景色や音が聞こえて来る。千頭まで走る小さな列車の窓からの緑色の川と山の景色。夕暮れ時の帰り道、歩いても歩いても近づかない長い長いトンネルの遠くの出口。駅から民宿に向かう雨の夜の真っ暗な夜道のガマ蛙。雨の後の川の濁流に落ちて流される青年。秋の夕暮れ時の山全体に響く「キッキッキッキッキッ」とヒグラシの鳴き声■そして、作業中の私の体を風に乗って通り過ぎていく桜吹雪。私は顔を上げて、初めて遠くの桜の木を見つめた。その時に思った事。『春なんだ。10年後、俺はどこで何してるんだろう?このままじゃダメだ。バイト辞めて大学に戻ろう』。あれから35年。今年も桜の花びらが舞っている。

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