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学童の日々 Vol 32

「すくすくつぶれろ」

ある日の午後、一年生の男の子が「トイレに『すくすくつぶれろ』って書いてある」と伝えに来た。すくすくは私の所属する学童保育の「すくすくクラブ」のことだ。男子トイレに行くと、壁に鉛筆で「すくすくつぶれろ」と書いてあった。昨年の春にも、同じ文字で同じ内容が書いてあった。その時は、二年生のS君が「落書きが書いてある」と知らせに来た。職員間では、その頃しきりに「学童をやめたい」と言っていたS君本人の仕業かな?とは思ったが、確信が持てずにそのままで終わった■翌日、私は本を読んでいるS君の横で、「あ~どうしよう。トイレにまた、『すくすくつぶれろ』って書いた子がいるんだけど、落書きは消えないし、他の先生には言いたくないし、おまわりさんは呼びたくないし、こまったな~」と言った。S君は、今にも泣きそうな顔で、「トイレに行ってきます」と言ってトイレに走った。私は、しばらく時間を置いた後、トイレにS君を呼び出して落書きを見せて、その落書きに洗剤をかけながら、「S君がしたんならば消してください」と伝えた。S君は私が持っていたティッシュで落書きを消し始めた。「S君がしたと?」と聞くと「覚えていない」と答えた。私は「S君が書いたんじゃないなら消さんでもいいとバイ」と言った。S君は「僕が書いた」とポツリと言った■私は、落書きを消しているS君に、「いくらすくすくに来たくないからといって、トイレに落書きをするのはダメです。『すくすくつぶれろ』って書いてもすくすくは無くならないよ。もうしないでください」と言った。いつも、集団の輪に入れずに部屋では一人でポツンと本を読んでいるか、ビデオを見ているS君。外遊びでも一人でいることがほとんど。昨年の春に、友だちだったK君がすくすくをやめてからというもの、心の中は「すくすくやめたい」でいっぱいだったのだ。その思いは落書きが消えてもずっと変わらなかったのだ■学童は三年生までは利用できるのだが、今度三年生になるS君は、一年生になる妹と入れ替わりで4月にはすくすくをやめるそうだ。数日後、S君と話をした。「すくすくをすぐにでもやめたいから『つぶれろ』って書いたんだろう?」と聞くと、「うん」と答えた。「なぜそんなにやめたいと?友だちがおらんけん?」と聞くと、「友だちがおらん」と答えた。「友だちは誰ね」と聞くとK君の名前が・・・。そして、「これからは、いやな事があっても落書きなんかしないで、きちんと言葉で相手に気持ちを伝えようね。残り一ヶ月がんばるバイ」と話して指切りして終わった。最後まですくすくの中で、自分の居場所を見つけられなかったS君。これからは、もっとたくさんの友だちをつくり、自分の居場所を見つけて明るく元気に過ごしてほしいものだ。

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