学童の日々 Vol 35
「Hさんごめんなさい」
学童では、毎日順番で子どもたち三人と一緒に男子と女子と職員のトイレの掃除をしている。ある日のこと三つのトイレに分かれて掃除をしていた時に、女子トイレからとても大きな怒った声で「福永先生!洗剤がかかっとらんたい」と二年生のHさん。オヤツのときから眠たそうにしていたHさんは、不機嫌な顔で私を睨みつける■私は「ごめんごめん」と言って、便器に洗剤をかけて、また他の子たちの別なトイレに。思わず「あ~怒られた~。狼みたいに吠えられて怖かった~」と言ったら、掃除をしていた二人の子が笑った。その後、すぐに「ワ~」とHさんの大きな泣き声が・・・。私はあわてて「ごめん。ごめん。Hさんがあんまり怖くて狼って言ってしまった。もう言いません許してください」と頭を下げた。でも許してくれない。泣きやまない■ほったらかしにしておけば、泣きやんで掃除をしてくれるかな?と思ったものの、静かになったので見に行くと、Hさんはトイレの入口に座り込んでいた。私は黙って遣り残しの便器を磨き、床を拭いた。雑巾を絞り外に干す頃には、Hさんは外で遊んでいた■夕方、ランドセルを背負って帰るHさんに「今日はごめんね。許してください。許してくれないと今夜眠れないんですけど」と言ったが、睨みつけて何も応えてくれない。私は、走り去ろうとしたHさんのランドセルをつかみ「待ってよ」と言うと、Hさんは振り向きざまに「私のランドセルに触らないで!」と言って帰ってしまった。きちんと許してくれなかったので、その夜はなんとなく寝つきが悪かった。翌日、「ごめんなさい」も言う間も無く、Hさんは私に会うなり「狼って言ったひと~」と私を指差して笑いながら逃げて行った。
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