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2009年10月

学童の日々 Vol 22

チューしたい?

 学童には寄贈品も含めて絵本や漫画本など100冊以上ある。子どもたちは自由時間に好きな本を読んで過ごす。ある日、私のところに一年生の男の子二人が漫画本を持ってきて、「この女の子好き?」と聞く。見ると女の子の入浴のシーン。私が「好き」と答えると「じゃーチューしたい?」と聞く。「いいや」と答えると「ふーん」と言って立ち去った■その後すぐに今度は違う本の水着姿の女の子のページを開いて、同じ質問が始まる。子どもたちは何冊もの本のページをめくり、ここだと思うシーンを指差す。同じやり取りが何回も続いた。私は飽きてきて「じゃーチューしたい?」の質問に「あ~!チューしたい」と答えると、二人は「え~エッチ~」と嬉しそうに大きな声を上げた■50年ほど前の私の小学校低学年の頃の記憶をたどっても、同級生の顔はほとんど思い出せない。女の子を初めて意識したのは、小学校の4年生の頃だ。ただし好きだという感情は無く、ただ彼女が気になって仕方なかったのを覚えている。彼女は走るのが速かった。運動会で先頭を走る彼女の姿が、なぜか今でも映画の一場面のようにキラキラと輝いて心に焼き付いている。今にして思えばそれが初恋だったのだろう■宿題をしながら三年生同士が「お前は誰が好きや?」「俺は○○ちゃん」「えーっ」とか言いながら楽しそうに話している。彼らもいつの日か誰かを好きになり、恋することの喜びと胸の痛みを知るだろう。チューしたのがいつだったかも忘れて、心がときめくことも無くなった私としては、うらやましい限りだ。

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学童の日々 Vol 21

バトスピ?!

 本来学校には遊び道具は持ってきてはならない。しかし、土曜日や夏休みには学童に色々な遊び道具を持って来る子どもたちがいる。その中には僕らの時代には見なかった珍しい物がある。消しゴムにも色々あり、寿司や果物などの食べ物バージョンからキャラクター物やコーラの香りなどの匂い付きなどもある。シールにいたっては、実に多種多彩。その種類の多さにはびっくりしてしまう■僕らの子ども時代にもヒーローのカードはあったが、今どきの子どもたちはバトスピ(バトルスピリッツ)のカードゲームに熱中しているらしい。インターネットで調べたが、バンダイから発売されていて、公式の競技も行われている。カードはコンビニやスーパーで購入でき、6枚で200円程度とのこと。色々なキャラクターがカードに描かれていて、それぞれのパワーなどの情報が数値化されている。そのカードを使って戦うらしい■バトスピ以外にも、キャラクターが描かれた鉛筆を転がしてテーブルの上で戦っている子どもたちの姿があった。いずれにしても僕らには近寄りがたい子どもたちだけの世界だ。楽しそうに遊ぶ子どもたちの姿を見ながら「僕らも僕らだけの世界があったな~」と自分自身の子ども時代を振り返る■それにしても、今どきの子どもたちの持っている遊び道具を見ると、少し進化し過ぎではと思ってしまう。街中のレストランやバスの中などで景色も見ることなく、家族と話をすることもなく黙ってゲーム機を手にして、その世界に熱中している子どもの姿を見るとき、「何か間違っているんじゃ?」と思うのは僕だけだろうか?

Photo_3 ←バトスピカード

Photo_2 ←シール

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学童の日々 Vol 20

ちゃんとせんや!

  学童のおやつは16時から。今は1年生から3年生の混合で15のグループに分かれて食べている。最初から最後まできちんと座って行儀良く食べることが出来たいくつかのグループはグループ賞が貰える。個人別の評価も行い、一ヶ月間の評価でグループ賞と個人賞の表彰が翌月に行われる■賞品はひとつ100円程度だが、子どもたちはグループ賞・個人賞を目指して毎日頑張っている。当日の特典としては、その日にグループ賞がとれたグループは最初にご馳走様をして、いつもの机片付けをしないで、一番に自由遊びが出来る。グループ賞がもらえなかったグループは、ご馳走様が遅くなり、机運びもしなければならず、その分遊びの時間も少なくなる■ということで、各グループ必死だ。しかし、それでもグループの中には足を引っ張る子がいて、ウロウロしたり、行儀悪くダラダラとおやつを食べたりしている子もいる。二年生のR君は、一年生の時には落ち着きが無くて、上級生にずーっと「ちゃんとせんや!」と言われ続けていた。そんなR君が今では、おやつの時間に「ちゃんとせんや!」と何回も一年生を注意している■ある日おやつの後に、R君は言うことを聞かない一年生のM君をとうとう殴ってしまった。R君は泣きながら「だって言うこと聞かんもん。注意したらバカって言ったもん」と言う。私は「僕だって一年生の時にみんなから毎日のように『ちゃんとせんね』って言われよったでしょう?M君だって今ちゃんとしようと頑張ってるとよ。バカって言われたからって殴ったらダメ」と話した。M君には「注意されたからって『バカ』って言ったらダメ」と話して、二人とも「ごめんなさい」と言って仲直りした。この一年間で大きく成長したR君。きっとこれから少しずつ変わってくれるであろうM君。一年前が懐かしく、そしてこれからが楽しみな毎日だ。

Photo_2

←もうすぐオヤツ

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学童の日々 Vol 19

土曜のひと時

 学童の現在の在籍児童は98名。学童は平日の午後と、土曜日は希望者だけの土曜保育を朝8時30分から午後の1時30分まで行っている。毎週、4・5名の子どもたちが利用している。職員6名のローテーションなので6週間に一回の割合で土曜日に勤務をすることになる■10月3日の土曜日は、その前の日曜日が福岡出張だったので7日目の勤務ということで、少し疲れ気味だった。それでも早起きして朝8時過ぎに学童に着くと、すでに二人の子どもが来ていた。当日は、数日降り続いた雨が上がり実にすがすがしい天気で、気持ちのいい風が吹いていた。10時のおやつまでは子どもたち5人(一年生の男女各一名・二年生の男子・三年生の女子二名)で屋内で絵を描いたり、持ってきたカードを広げたりして過ごした。一年生の女の子のMちゃんが、マイクを握って生オケでポニョやドレミの歌など10曲ほど歌ってくれた。踊りも交えての楽しい歌にみんな大喜びだった■おやつの後は、玄関横の洗い場で「お家ごっこ」が始まった。中庭の雑草を集めてサラダが出来上がり、バケツに砂利を入れて洗い場で洗い、ご飯ができた。私は「近所のおっさん」ということでお邪魔させていただいた。いつもは、人数が多くて騒がしい学童だが、その日は、時間がゆっくりと静かに過ぎていった。子どもたちの顔も実に生き生きとしていた■1時30分。みんなが帰ってシーンとした学童のホールを掃除しながら思った。子どもたちに「元気をもらったな」と・・・。

Photo ← 雑草のサラダづくり中

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学童の日々 Vol 18

壊れた泥団子

いつだったか外で遊んでいる時にR君がやって来て、出来たばかりの泥団子を持って、「ちょっと預かっといて。壊したらいかんよ」と言う。私は最初は断ったが、しつこく頼むので仕方なく預かった。ところが砂場の隅っこに隠していたが他の子達と遊んでいる間に、誰かが壊してしまった■R君は、泣きながら「なぜ壊した?せっかく作ったのに」と私を責めた。「作り直す」といっても「ダメだ」と言う。私は謝るしかなかった。たとえ相手が子どもであっても、人から預かったものを壊してしまって本当にすまないと思って、何回も「ごめんね」と謝った。それでもR君は、「許さん」と言う■私は泥団子一個でR君の信頼を損ねてしまったのだ。最後には「そんなに大事な物なら、なんで預けると?もう知らん」と言って開き直った。しかし、R君は泣きながら「許さん」と繰り返す。とうとう私はお手上げ状態となり、その場から逃げてしまった。納得できないR君だったが、いつの間にか何事も無かったかのように、走り回って遊んでいた■そんな小さな出来事だが、あの日から、子どもたちが大切している物は二度と預からないことに決めた。たとえ泥団子一個でも、その子にとっては宝物なのだから。

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