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2008年6月

北の広き道/俳句集 Vol 8

Photo 断崖に すっくと立ちし 野の鹿は

 知床の海岸線を走っていて何頭もの野生の鹿の群れを見た。断崖の上に一頭の鹿。カメラを構えるとポーズをとる様にすっくと身構えた。

空を飛ぶ たったひとつの 雲に乗り

 7月末、帰り道の神戸付近で関西地方の梅雨が明けた。どこまでも澄み渡った青い空の遠くに、ポツンとひとつだけの雲。孫悟空ではないが「あの雲に乗って空が飛べたら」と思ってできた句。

北国の 花摘み夢と 持ち帰る

 帰り道には、北海道の野の花はすっかり枯れてしまったが、これからのたくさんの夢を花のように持ち帰った。まだまだ夢は叶わず花も咲かないが・・・・。

■今回で「日本列島一万キロの旅」のブログは終了します。今回の旅で数十年分の心の垢を洗い流すことができました。旅をすることで遠くからゆっくりとじっくりと自分自身を含めて、物事を客観視することができました。花や景色などの美しいものを美しいと感じるココロ、小鳥のさえずりや風の心地よさを感じるカラダを取り戻してきた旅でした。現在は、日々夢を叶えるために、ほとんど休み無く動いていて旅をする機会がありません。しかし、考えてみれば人生は永い長い旅のようなものです。辛いこともありますが、いつの日か花が開いて、また本当の旅に出ることを夢見てがんばっています。一年近くの旅のブログにお付き合いいただき感謝いたします。次回からは、日々の活動と思うことなどを徒然なるままに書き留めたいと思っています。

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北の広き道/俳句集 Vol 7

我一人 道雲空に 深き山

 北海道の道は広い。そして、北海道は、でっかい。九州ではありえないことだが、山奥を二時間近く走っても、家らしい家も無く、一台の車にも出会わないこともあった。

この道は いつか来た道 白樺の

 「吹上の湯」をめざして走っている時に、道路の左右に数キロも続く白樺の森を見て気づいた。数年前に大学時代の友人たち夫婦で泊まったホテルに向かう道だと・・・。

当てもなく ただ道に聞く 一人旅

 毎日の行程を決めて旅をした。時折、道すがら目に付いた施設やお店などに立ち寄った。そのために、計画はその都度変更され、文字通り道に聞きながらの旅だった。

200706231538000 ←「RAM工房」ニセコ町 

鉄の工芸家 澤田さんのギャラリーと工房

■6月末にニセコの道の駅で作品を観て、ぶらりと工房を訪ねるもあいにくお休み。二回目の7月14日に作品とそして作者ご本人に出会うことができた。木と鉄の融合。どっしりとした存在感あふれる作品に心奪われる。

  

   

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北の広き道/俳句集 Vol 6

ツバメ舞う  風待ち丘の プロペラに

 北海道の海岸沿いの至る所で、風力発電用のどでかいプロペラをいくつも目にした。その日、風が無くピクリとも動かないプロペラの周りをたくさんの燕が風のように飛んでいた。

一人旅 己の影と 酌み交わし 

 夕方が近づき腹が減ってくると、食事のメニューよりも先に、「今夜の酒の肴は何にしようか?」と考えるのが毎日の日課になった。話し相手がいなくとも、一日を振り返り、そして翌日の行程を考えながら飲む酒は、確かに格段に旨かったのだ。

野にありて 岩がキャンバス ルピナスは

 夕暮れ時、層雲峡の緑の森と真っ黒い岩肌を背景にして、ルピナスの花の色が際立つ

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北の広き道/俳句集 Vol 5

Photo 紫の 光放ちて 野アザミの

釧路湿原に立ち寄った日はあいにくの曇天日和で、昼間だというのに薄暗かった。湿原の道を歩いていると紫の野アザミが光っていた。

波よ波 ココロを洗え 日本海

 北海道までの道のりは遠かった。途中までは高速を使ったが、金沢からは日本海側の国道を北上した。北海道に渡るまでは、心は開放されなかった。私が旅をしている間も毎日働いているだろう家族のことや、将来のことなどが気になり、心底、旅を楽しむ心境になれなかったのだ。そんな気分を日本海の荒波に洗い流してほしいと思ってできた句。

キツネ立つ 花咲く北の 白き道

 色々な場所で昼と無く夜と無くキタキツネに遭遇した。いずれも人に慣れてしまった、野性の心を失くしたキツネたち。長生きできないぞ。

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北の広き道/俳句集 Vol 4

遠き山 忘れられずに 流木は

紋別の海岸で、流木を100本程度拾って持ち帰った。大小様々な形の流木が数百本、海岸に打ち寄せられていた。いずれの流木も、どこかの川より海に流れ出て、何年間も波に洗われて、また、大地にたどり着いて、そしてそのうちのいくつかは私に拾われた。

野の花を 摘んで吊るして 夏が来て

6月の北海道は、春真っ盛り。道路端の雑草でさえ光を放ち、心を軽くしてくれる。いくつかの名も知らぬ花を摘み、車の後ろに下げて走った。北海道を離れる頃には夏となり、花たちはその色を少し落として、すっかりドライフラワーに・・・。

廃屋の 校舎の森に ツツ鳥の

 滝上町で夜の映画(恋するトマト)の上映を待つために、日中はナビを頼りに山奥へ。しかし、途中で道路は行止り。そのゲートの近くに廃屋となり、朽ち果てた校舎が・・・。耳を澄ましても、今はもう子どもたちの声は聞こえない。廃屋の校舎の森に、ただ「ホッホッホッホー」とツツ鳥の声だけが響く。

200707040956000_2 ←滝上町公園 07・7・4

毎年5月下旬から6月上旬にかけて10万平方メートルの敷地(甲子園の7倍)がシバザクラのピンク色に染められる。

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