« 2008年4月 | トップページ | 2008年6月 »

2008年5月

北の広き道/俳句集 Vol 3

200706241218

シアワセダ 夕陽がいっぱい サクランボ

 北海道で旬のサクランボをいくつ食べただろうか?パックに5~60個ほど入って300円程度の小粒のサクランボを一粒一粒ほおばりながら「シアワセダ」と呟きながら北の広き道を走り続けた。

夢ひとつ オコタン橋に 置いて行く

 北海道に渡り函館から北上するときにオコタン橋という橋を通り過ぎた。道路にかかる450mの普通の小さな橋。しかし、走りすぎた後もズーっと「オコタン橋」というその響きが心に残って出来上がった句。

朱色なる 夕陽の海に 魂揺らぐ

 礼文島のかなたに沈み行く夕陽を見て不覚にも泣いてしまった。ただただその美しさに感動して。その美しさは絵にも描けないし、ましてや言葉でも表現できない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

北の広き道/俳句集 Vol 2

Photo

アカショウビン

Yachoo!オンライン野鳥図鑑

ヒュルルル 森に流れる 風の鳥

 初めてその鳥の声を聞いたのはいつの日だったろうか?姿は見えないが、山の向こうから甲高い口笛のような囀りが静かに、しかし、確かに心の奥底までにも響き渡った。そして、晴れ渡った北国の早朝の森の中でも、アカショウビンの声は懐かしい風のように流れていた。

笑ってる ジャガイモ畑の 花そよぎ

 ジャガイモの花は見たことがあったが、ジャガイモ畑一面が花畑になっているのを見るのは初めてのことだった。茶色い土と緑と青空の中で、たくさんのジャガイモの白い花が風に揺れて笑っていた。

北の旅 彷徨い猫と 飯喰らう

 その日の夜は、オホーツク紋別道の駅で、冷たい風が吹き小雨が降る中、いつものように車の後ろにシートを張り、食事をしていた。近くの生垣の根元で猫が一匹うずくまっていた。「腹減ったか?」と聞くと「ミャー」と言う。近づくと逃げるので、飯ごうの蓋に米粒と缶詰のサバを混ぜて、生垣の近くに置く。私が、元の場所に座ってからガツガツと食べ始めた。あの猫は今も旅人と食事をしているのだろうか?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

北の広き道/俳句集 Vol 1

Image005_2

北の広き道

 旅をしていると人は誰でも詩人になれるのだろうか?若い頃には自分で詩を書いて曲をつけてギターを抱いて歌ったりもしていたが・・・。今回の旅の道中で、なんと俳句が40句近くできた。奥の細道ではなくて、北国の広々とした道路を走り回ってできた俳句だから、「北の広き道」の題で、お披露目したい。ただし、ほとんどの句には季語が無く、俳句を作る上での約束事を全く無視しているので、厳密にいうと俳句ではなく、伊藤園が毎年公募している「新俳句」の部類なのかもしれない。

我は蟻 青函の海 木っ端の上ぞ

北海道に渡るために青函連絡船に乗船してできた句。大きなフェリーの船上にいながらも足元の下は深い海。デッキに立ち潮風を受けて大海原を見ていると、何と船の、そして自分の小さきことよ。

老犬を 抱きし人の背 朝陽射す

 富山県のどこかの町だったろうか?朝陽が射し始めた早朝の路地を、老人が年老いた犬を抱いて散歩をしていた。朝陽が眩しく、老人に後光が射しているかのようだった。

君去りて 風は吹き抜く 愛別町

 愛別町。恋と愛は別?愛しているがゆえに別れるのか?不思議な町名だ。夕方に曇り空の下を車で走り過ぎただけの町。横風が強く、木々が大きく傾き揺れていた。私にとっての愛別町は風が吹き抜く町

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年4月 | トップページ | 2008年6月 »